「タイチ」にインタビュー *2020年5月ビデオ通話にて収録。

前回の舞台にで出てもらった訳なんですけど。凄いことやと思う。京都東京ツアーしてるし。 公演の感想とかあったら。


タイチ僕は楽しかった。そやな... 振り返ってみると、よくやったなって思います(笑)


:ほんまにそう思う(笑)


タイチ:なんていうかな、「依存症らしいな」とも思って。やるときは一生懸命やりすぎるくらいやって、その中で自分の色を出そうとする。一つのことが出来て、いろんな人が見てくれたんも嬉しかった。僕は舞台をやったことがあったから、そういうのも思い出して、すごく楽しかった。


:私もあれから振り返ってみて、ダルクのみんなってすごい舞台向きちゃうかと思った。勿論、めちゃ大変やったけど。 公演を観た多くのお客さんが「役者が入ってるんやろ」って思ってたくらいで。ダルクのみんなは自分のことを言葉にすることに長けてるし、自分のことをセリフとして話せるのは高度なことで。タイチくんは舞台経験あるから勿論やけど。なんなら役者よりも自分を持って喋ることが出来る人たちやな、って思った。


タイチ:セリフが決まってなかったのが良かったなって思ってて。セリフ決まってたら、わーって、役者っぽく喋ってただろうなって思う。


:ちょっとした即興性がね。タイチくんが話すシーンの後ろで、うちらが「そろそろタイチ泣くで」っていう空気になるのもさ、あれも、決まってるようで決まってない。私はそういう演技と本当の "はざま" が好きで。即興が好きでは全くないよ、私の作品は段取り決まってるやん。スターのさ、「タイチくん今泣いてるで」ていうセリフに対して、タイチくんは決して泣いてるふりをしないこととかさ。 ああいうのって、舞台やって来た人としてすごい良かった。

 

タイチ:段取りっぽくなかったってことかな。

©Naoyuki Hirasawa
©Naoyuki Hirasawa

:そうそう。舞台に乗せるとだいたい何でもフィクションになるんやけど。 ちゃんとずっと 「本当が乗ってる」って思ってさ。それが良かった。ありがとうございます。で、その後タイチくんはどうですか。今後の方向性とか。うちら、(ダルクに行きだした)同期やん。

2年経ったやんね?


タイチ:うん、2年。僕が似顔絵の道に興味を持ったのは、もともと絵は好きやってんけど、去年舞台をやった影響もあって。舞台なら舞台、ダンスならダンス、照明なら照明とか、芸術系だけで食ってる人を見て、「ああ僕、やりたいことで仕事選んでいいんや」って。それがきっかけやって思うねん。


:それはすごい嬉しい。好きなことを仕事にして、まともに食えてるかっていうと、サラリーマンみたいに固定収入とかではないやん。 私も死ぬほどバイトして、今はしてへんけど、舞台のために色々やってきた。で、いろんな人がよく言うんやけど、「10年やってたら何かにはなる」って。これって絶対やなって思う。だから、タイチくんも10年描き続けたら、何かにはなってると思う。

 

タイチ:僕は今まで、自分に出来ることで仕事を選んできたけど、自分のやりたいことで選んでもええんや、って思った。また前職の道に戻ることも出来ると思う。免許持ってるからね。でもそれはまた、自分が出来ることで仕事探してるとことになる。でも、自分がやりたいことで選んでいいなら、劇場とかでバイトしたい、とも思ったし、こういう(芸術の)世界で生きたい、今度は生きてみたい、って思った。


:タイチくんが似顔絵描けるようになったとするやん。例えばさ、次のダルクの舞台のときに、「当日パンフにみんなの似顔絵描いて」って頼むとするやん。そういうやりたいことを仕事に繋げていくことって全部、人との関係で成り立ってると思ってて。


タイチ:うん。


:そういう、絵を描くっていう仕事も、人と関係していかなきゃいけない。だから、すげーいいと思った。


タイチ:いろんなきっかけが僕もあるんやけど。仲間のバースデー(薬物の使用をやめた日)で似顔絵を描いて褒められて、「その道行ったら」って言われたりとか。前はそういうこと言われても、「趣味でね」みたいな、 現実味なかったけど、「そっちの道いくなら応援するよ」って言われたり。芸術に関わる人達と触れ合うなかで、いろいろ僕の中で変わってん。この1年で。

伏見ストリートスナップ。施設向いの公園でパシャリ。
伏見ストリートスナップ。施設向いの公園でパシャリ。

:タイチくんの育って来た環境もあると思うんやけど、 多くの人は、家庭持って、子供産んで、ということが、まっとーな、オーソドックスな正しい道だって、刷り込まれてるやん。私も両親が先生やったから、そういう意識があった。今はないよ、ぱっぱらぱーやから(笑)。 高校の時はダンスとかじゃない、普通?の大学行こうとしてて。「ダンスで大学とかダンスを仕事にするって、なんやねん」ってナメてたの。「どんなもんじゃい」と思って、京都造形芸大のコミュニケーション入学っていう体験授業を見にいったら、変な大人がいっぱいいてさ、こういう人らが大学の先生っていわれて。私はそこで、「一回踏み外してみよう」と思って。で、踏み外し散らして今なんやけど(笑)、踏み外すタイミングって、遅いも早いもないと思うねん、 60歳でも70歳でも。

 

タイチ:多分、それに気づかず死んでいく人、いっぱいおるんやろなって思ってて。 僕は運良く、人生リセットできたから、そっちで立ち直せるかなって。そういう意味では良かったなって。もしそれがなかったら、自分は我慢して、親のための、親が望む人生みたいな感じで、親が死んだ後も気づかずに、自分が死ぬまでそうやったんやろなって、でも今はそれに満足できない自分がいるし。


:めっちゃええやん!

 

タイチ:そんな感じ!


:ええ感じなんやな。 えーと、ダルクをいつ出るかは、決まってるんやったっけ。


タイチ:規定的に言えば、早くて今年の5月末、長くても来年の5月末。


:12月の舞台な、コロナの状況次第でどうなるかわからへんけど、やる予定で進んでる。その頃タイチくんがどうなってるかも分からへんけど、公演に出る出えへんとかでなく、自分たちの作品見にきてくれる埼玉のお客さんに、メッセージっていうか、言うときたいことがあれば。


タイチ:偏見あるなしは、どっちでもよくて。偏見ある人も来てもらえたらいいと思うし。とりあえず、知ってほしい。生きてますって。人間ですよーって。そんな感じ。


:ありがとうございました。

元気そうでなにより。ダルク行けへんから。


タイチ:僕は翠さんが心配。


:せやろ?舞台公演の予定も無くなったしな。ダルクも行けへんし。


タイチ:のたれ死んでたらどうしようと。


:元気やけど、普通にみんなに会いたい。飯食ったり。 みんなもさ、オンラインミーティングとかやってて、しゃーないけど、感染したら大変やし。でも、私は人とは直接会わな分からんから。ダルクに行けるようになるんが楽しみ。


タイチ:似顔絵のプロ教室が6月からあって。コロナの影響でわからんけど、6月から2ヶ月、行くねん。


よくあるやつ?


タイチ:そうそう、ウェルカムボード描いたり、観光地で描いたりとかね。


:楽しみやね〜。



【再演】

akakilike『眠るのがもったいないくらいに楽しいことをたくさん持って、夏の海がキラキラ輝くように、

緑の庭に光あふれるように、永遠に続く気が狂いそうな晴天のように』

日程|2020年12月 上演予定

会場|富士見市民文化会館 キラリ☆ふじみ(埼玉)